1枚のピザを7つに切ると・・・(MT No.4)
Management Times No.4
とあるピザ屋での話。「お買い上げありがとうございます。ピザは5つに切りましょうか?7つに切りましょうか?」「そうだねえ、今日はお腹が空いているから、7つに切ってもらおうかな」
・・・5つに切ろうが7つに切ろうが、ピザ1枚の総量は変わりません。それが変わるように考えていることを笑うのがこのジョークなのですが、このジョークを地でいってしまった事件がありました。
そう、あのライブドア事件です。ライブドアは、株式分割によって株価をつり上げるという手法を用いていました。当時の市場制度の欠陥などもあったからできたことなのですが、結果はジョークの通りになってしまったわけです。
もともとこのジョークは、アメリカのビジネススクールで、「企業価値は資金調達の方法によって変わることはない」ということを教えるためのものでした。株式は、資金調達の方法のひとつです。その株式を100株にしようが、1,000株にしようが、理論的には企業の価値は変わりません。
資金調達の方法で企業の価値が変わらないということは、資金調達それ自体は何の価値も生み出さないということです。そしてそれは、実は金融全般に関しても言えます。
最も単純な金融である、お金の貸し借りを考えてみましょう。あまりに当たり前ですが、お金を貸すこと、借りること、それだけでは何も価値を生みません。価値を生むためには、お金を借りた側が、そのお金を使って事業などを行い、その事業が価値を生むことが必要です。
確かに、お金を貸した人は、金利が取れます。しかし一方で、借りた人は同額の金利を払います。つまり、儲けた人がいる一方で、同額を損する人が必ずいる。これをゼロサムゲームといい、全体の価値上昇には貢献しないことになります。この性質は、金融がいくら高度になっても変わりません。
今回、大恐慌以来の経済危機を招いてしまった、現代金融の最も大きな問題点。
それは、金融工学、デリバティブといった一見かっこいい言葉にごまかされ、金融自体では価値を生むことができないというこの大原則を忘れ、突っ走ってしまったことでしょう。
もちろん、金融自体は大変重要であり、現代社会を支えるインフラとして絶対に必要なものです。価値を生める事業や企業に、資金をスムーズに融通できれば、より大きな価値を生めるからです。
その意味では、バブル以降、堅実・実直に本来の業務を行ってきて、今回の騒動の中でも比較的傷が浅いと言われている多くの日本の銀行には、これからも頑張って頂きたいと思います。
その一方で、目先の欲に駆られて原則を忘れ、大混乱を引き起こしたアメリカ資本主義。その転換の時期がついに来たか、という感じですね。
常盤のひとりごと
ここのところ、急に寒くなりました。皆様、体調など崩しておられませんでしょうか。私はちょっと風邪をひいてしまい、某市販薬を飲んでいます。
ところがこの市販薬、飲むと、ものすごくラクになるんです。効いているといえば効いているのでしょうが、なんとなくぼーっと、幸せな気分を感じるくらいになるんです。
あまりに気持ちよくなり過ぎるため、ひょっとしてヤバイ成分でも入っているんじゃないか・・・という気すらします。効き過ぎるクスリっていうのも、コワイですね(^^;)。