減税の景色のなか、役員報酬を見直しましょう (通信NO.12)
常盤事務所通信 No.12
劇的な政権交代から一週間。一番の興味は、我々の経営にどう影響してくるか?ですよね。
そこで、民主党の税制を、どのように利用するか簡単にまとめてみました。
先号の段階では、今回から会社内部での資金繰りをお話ししていこうと思っていました。しかし、タイムリーな話題なので、素早く今回お伝えしたいと思います。
まず、法人税で一番中小企業に関係がありそうなのが、以下の2つです。
1)法人の儲けについて、年800万円までにかかる税率を、いまの18%から11%へと引き下げ。
2)悪名高かった、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入を廃止。
1)については、わかりやすいのですが、2)について若干ご説明を。
社長が一人でやっているような会社は、年に1,600万円以上儲けてしまうと、税金が余計に取られていました。この制度が廃止されるので、中小企業には減税になるということです。
もっとも、その規程の適用を受けないように、株式の割合などを調整していた会社も多いと思います。
その場合には、税金を減らすために、経営権が犠牲になっていることもあります。
2)の改正が実現すれば、もう一度顧問税理士などに見直してもらう方がいいでしょう。
それから、政権交代とは関係ないのですが、意外に知らない方がいらっしゃるようなので追加を。
それは、今年の4月からすでに行われている、欠損金の繰戻し還付です。
簡単に言うと、前の年に納めた税金を、今年業績が悪かったら返してもらえるということです。
ただ、返してもらえる代わりに税務調査をしますよ、と法人税法に明記されています。
税務調査が入るかどうかは、①これまでの税務調査の状況②繰戻し還付を受けたあとの欠損金の金額などで決まっているようです。しかし、きちんとした処理がされていれば、何ら問題はありません。ここ一年くらいで急激に業績が悪化している会社は、多いと思います。ぜひ、制度を有効活用してください。
あとその他で、おっと思ったのは、売掛金の貸し倒れ処理の要件緩和です。
回収見込みのない売掛金を税務上の経費として落とすのは、これまで難しかったのですが、これがやりやすくなりそうです。個人的には、売掛金を現物納付できる制度が欲しかったのですが(笑)。
また、400万円以下の交際費は、全額税務上の経費にできるようになります(今は9割だけ)。
このように、一般的な中小企業にとっては減税一色という感じです。
一方、個人の所得税のほうは、儲けている人には増税となりそうです。ですから、役員報酬の額を見直す必要があります。儲けは同じでも、役員報酬の額によっては余分にお金が出て行ってしまうからです。
ぜひ、会社と社長を合わせたところで一番お金が残る形にしておいて頂きたいと思います。
なお、当事務所の節税計算ファイルをご利用頂いている方へは、変更箇所を後ほどお知らせします。
また、当事務所のお客さまには、今後の税制改正で利用できそうなところを、ニュースレターでより詳しく解説します。ご期待ください。
(参考資料:民主党マニフェスト、税制抜本改革アクションプログラム、租税特別措置等への対応について)