とあるラーメン屋さんの決算書(通信No.5)
常盤事務所通信 No.5
借入の前提として必要なこととは?
前回は、借入申込をする際には、文書をつくると有利ですよということをお伝えしました。また、文書化するのは借入申込書や事業計画書です、ということでした。
ここで、その前提として、とても大切なことがあります。お聞きになれば、そんなことはもう知っているよと思われるでしょうが、それでも重ねてお伝えします。
それは、経営者は決算書が読めるようにもならないといけない、ということです。
担保さえあれば、という時代もありましたが、現在の銀行における貸付の判断は、決算書を中心に行われます。従って、まずは決算書がわかっていないと、適切な申込や交渉ができなくなってしまいます。
そして、ここで言う「決算書が読める」とは、単に簿記を知っているということではありません。
つまり、こういった取引は科目がなんになるか…ということを知っているということではないのです。
また、決算書に書いてある文字、つまり、経常利益とか、資本剰余金とかが何を意味するのか知っているということでもありません。
では、どんなことを意味しているのでしょうか。
答えは、自社の活動を数字で語ることができる、ということです。自分達が行っている活動から、数字(決算書)ができあがっていく様子がイメージできる。もしくは、数字(決算書)から、具体的に行っている活動がイメージできる。これが最も大切になります。
例えば、ラーメン屋さんの決算書を読むとします。年間売上高が1億円とあります。
福岡であれば、昼と夜の平均客単価は千円程度、平均滞在時間は40分程度でしょうか。週休一日で、朝の11時から夜の9時まで営業するなら、年間の営業時間は、約3,120時間(26日×10時間×12ヶ月)。
すると、一席でフルにあげられる売上は、468万円となります(3,120時間×60分÷40分×千円)。
もしこの店の席数が20席強とすると、年間を通じて、開店から閉店まで、ひっきりなしにお客さんが来ている、ということになります(1億円÷468万円=21.36席)。
そこで現場をみて、お客さんがそこまでいないのなら、客単価が高いのか、もしくは客回転が異常に速いのか。あるいは、粉飾という可能性もあるかも知れない。ここまで現場をイメージすることができることこそが、「決算書が読める」ということだと思います。
(以下、次回へ続きます)
常盤のひとりごと
以前の場所が手狭になったため、新しい事務所に引越しました。年末・年始にこの引越作業まで加わったため、この一ヶ月はものすごい忙しさでした。よく、大人になると時間が経つのが速いと言いますが、これは毎日同じことを繰り返しているからだそうです。しかし、我々税理士は、知識が商品。同じことの繰り返しではお客様にご提供できるものがあっという間になくなってしまいます。
子供のように新鮮な興味を持って、どんどん新しい知識に触れていき、2009年も長くて楽しく、皆様のお役に立てる一年間にしたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。